考える人
「考える人」というと、オーギュスト・ロダンの代表作で、世界的に有名な彫像をお思い浮かべる方が多いかと思います。あの姿を見ると、「何をそんなに考えているのだろう」と思ってしまいますが、もともとは、ダンテの「神曲」から着想を得た「地獄の門」という作品の中の一部で、あの男性は裁判官で、地獄に落ちた者たちを上から見下ろしている姿なのだそうです。
つまり、あの男性は本当は何も考えていないのかもしれない?ということですね。その後あの男性の彫像だけが単体で美術館等に展覧されて有名になり、日本でも上野や京都の美術館で観ることができますが、いかにも何かに悩み、真剣に考えている人にしか見えないため、「考える」ことのシンボルのような存在となっているのです。
いきなり冒頭から余談になってしまいましたが、「考える」ということを今回はテーマにさせて頂きます。
生きていると誰でもいろいろと悩み、考えることがたくさんあります。どうすればよいのだろうと悩み、考え、そして、決断をしなければなりません。日常の小さなことから、人生における重要な決断まで、人間は日々考え、決断をし続けて一生を過ごします。時には、あのときこうしていれば、あるいはこうしていなければ、と後悔することもあるでしょう。しかし、何事もとにかく決断しなければ先には進めません。
中には決断することが苦手で、他の人にゆだねがちな方もいます。大きな事であればある程、自分の決断により、もしかしたら他者に迷惑をかけるかもしれない、その結果他者から非難を受けることになるかもしれない、そうなりたくはない、と思ってしまうと、自分一人で決断することが怖くなってしまったり、どうすればよいのかわからず、その結果、大多数が選ぶ方を選んでしまうということもあると思います。
以前にも述べましたように、日本は島国で鎖国という歴史もあり、独特の素晴らしい文化や、助け合いの精神をもち、協調性に優れた国民性を育みました。しかしその一方で、グローバルな人材になるためには必須条件である、「自分の意見や考えを人前で述べること」がたいへん苦手であるという弱点も生み出しました。
もともと、「皆一緒であることが良いことである」という考え方が根付いていて、他の人達と違うことは駄目なのではないかという考えをもってしまうことに問題があるわけです。本当に皆と一緒であることが良いことなのであれば、自分で考えたり悩んだりすることなく、大多数の人達に「右に倣え」でよいわけですから、これほど楽なことはないですね。
10年後、20年後、30年後、私たち大人は、どんどん年を取り、今更大変な思いをして思考法を変えなくても、この日本という平和で安全な国で、幸せに生きていくことはできるかもしれません。
しかし既に今現在も、世界ではこの日本的思考は全く通用しませんし、これからの子供たちが世界の人達と共に生きていくグローバルな社会では、なおのことです。
グローバルな人材にするためには、まず英語ができなければと、お子さんに英語を習わせていらっしゃる方は多いと思います。しかし、いくら英語ができても、自分の考えや意見を持てず、他人の真似しかできない人は無能扱いされてしまうでしょう。そんな惨めな人生を子供たちに送ってもらいたくはないですよね。
ではどうすれば、幸せな充実した人生を送ることが出来るのでしょうか。前々回のブログ「こんな子供・こんな大人になってほしい」に、こういう生き方をしてほしいという私たちの願いを次のように書いています。
「お友達と上手につきあい、学校生活がうまくできる」 → 人とうまく付き合えるということは、他の人の気持ちを考えることができ、思いやれる、つまり他の人からも好かれるから、人との付き合いが楽しくなります。
「学ぶ喜びがわかり、学習を楽しめる」 → 広い視野で考え、先を見通すには知識が必要です。専門家の意見も参考にして学ぶことで、より深く考え、正しい決断にたどりつくことができます。
「クリエイティブで、創造することを楽しめる」 → 自分自身をよく見つめ自分を知り、自分が何を表現したいのかを考えて、それを創造できる喜びは人生を豊かにします。
「自分に自信をもち、他者を尊重できる」 → 周りのことも自分自身のことも広く深くよく考えた結果、良い判断ができることで自信をもつことができ、他者の立場や努力や功績も考え、敬うことができます。
この4項目をクリアする人の人生は、「人とのつきあいが楽しく、自ら学べて正しい決断ができ、自信を持ち、創造する喜びで人生が豊かになる」のです。
どの項目も、ポイントは「よく考える」ことができるということです。
子供たちに幸せな人生を送ってもらう為には、「自分で考え、自分で意思決定ができる」ようにさせることが大切で、この能力をつけるのは赤ちゃんから幼児期が一番重要です。
何から何まで過保護に世話をしてしまうと、子どもは次に何をすべきかを考える必要もなく事が進むので、自分で考えることができない人になってしまいますね。それはつまり、その子の人生の幸せを、成功を奪っていることになるのです。
メープルランドインターナショナルの、2才からのプリスクールでは、子供たちが楽しみながら、自然に考え、学ぶカリキュラムが組まれています。続く年少から年長のキンダーガーテンでは、さらにその力が付き、先生の質問に全員が違う意見を言えたり、何かクラスで問題が起きたときは、皆で話し合い、どうすれば良いかの解決法を考えたりもできるようになります。
それを全て英語だけで行っているのですから、幼児と言えども、もう既にグローバルに活躍できる立派な国際人なのです!