日本の英語教育―グローバル化をめざして

6月7日、TBSの情報番組「ひるおび」で、公立中学校の英語レベルが、さいたま市が全国一であることが報道されました。

文部科学省が全国の公立中学校を対象に「聞く・読む・書く」に関する試験を行い、さいたま市の正答率が75.5%で全国トップ、これは全国平均の42%を大きく上回るものでした。

また、昨年9月5日に行われた(オンライン開催)全国中学校英語ディベート大会では、さいたま市立浦和中学校が優勝しました。過去11回のうち優勝は4回目とのことです。

教育改革は10年に一度、2020年度からの教育指導要領には、戦後最大と言われる大きな改革が有りました。一番大きな変更は英語で、グローバル化に対応できる人材を育成する目的で、学校英語の内容が大きく変わっています。変更点は以下のとおりです。

  • 5・6年生で行われていた「外国語活動」は3・4年生に前倒し、5年生からは成績がつく教科となり、語彙数は600~700語に設定され、それまでの中学1年生レベルの内容が5年生に導入された。
  • 中学校から授業は原則英語で行い、従来のReading・Writingに加え、Listening・Speakingの4技能が求められる。
  • 高校では英語でディスカッションができるレベルにする。
  • 指導語彙数は大幅に増加し、中学が従来の900語から1200語程度に、高校では1300語から1600~1800語程度に設定。
  • 英検の取得目標は、中学校で準2級程度、高校で準1級程度のレベルが求められる。(参考資料:文部科学省HP)

しかしさいたま市は、もともと英語の教員だった細田教育長のもと、2016年から、小学校から段階的に英語と親しむ「グローバル・スタディ」という独自の英語教育に取り組んでいたそうです。

その内容は、英語の導入は小学校1年生からで、英語を「勉強する」という意識から解放し、歌やダンスなどで英語の音やリズムに慣れ、自発的に英語を楽しむことに主眼をおいているそうです。

小学生では英語でドラマコンテスト、中学生では英語ディベートコンテストを自主的に行い、自分たちの意思を伝え合う経験が大きな糧になっているとの事です。

日本では「勉強する」というインプットを重視しがちですが、「グローバル・スタディ」では、他者に話す・伝えるというアウトプットを大事にしています。日本語・英語にかかわらず、相手の伝えたいことを理解し、相手に「わかるように伝える」ということは、コミュニケーション能力の向上につながります。これこそ、英語という教科の勉強ではなく、国際的な人材を育てる「グローバル・スタディ」なのです。

さいたま市がこのような素晴らしい英語教育を行い、全国一という立派な結果を出されていたこと、2002年に東大宮に「メープルランドインターナショナル」を開校し今年で20周年となりましたが、恥ずかしながら存じませんでした。

生徒たちが学校の英語を「英語」と言わず「GS」とよんでいるのも、ようやく理由を知った次第です。

2019年、国連が定める「世界英語デー」の4月23日に、「日本人グローバル化推進協会」が設立されました。日本人に多い「英語が苦手」という意識を変え、世界中の人々とコミュニケーションをする手段として、英語を使いこなす手助けを事業として行っている組織です。

こういう組織を作らなければならないほど、日本のグローバル化はまだまだ遅れています。

これを解決するには、単に日本人の英語力強化だけではなく、低年齢から、コミュニケーションを通じて、他者の多様な考えや価値観を知り、互いに認め合い、尊重するというグローバルな考え方ができる人材を育てる教育こそが最も必要であると痛感しました。(参考資料:おたくま経済新聞)

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