共通テストに見る今後の学校教育の傾向 ~ 脱!暗記・思考力を問う! ~
昨年11月に大学入学共通テストの試作問題が公表されました。
2020年の新学習指導要領を受けて、高校の科目にも様々な変更が出ています。その一つが世界史・日本史で、「歴史総合」という新科目になり、世界史と日本史を融合した18世紀以降の近現代史を新課程で学び始めているそうです。
歴史の試験というと、ひたすら年号や人名を暗記するというイメージでしたが、今回の大学入学共通テストの「歴史総合」の試作問題には、世界史探求や日本史探求を組み合わせた出題が試みられ、暗記だけでは解答できない、思考力を問う理念に沿った出題となったようです。
具体的には、単に年号や歴史用語を答えればよい問題ではなく、地域や時代区分の壁を越えた歴史の大きな流れをとらえ、歴史事象の背景にある歴史の大きな変化を考えさせる、歴史的思考力を問われる問題ということです。
「歴史総合」の学習範囲は、近代化・大衆化・グローバル化の3つの柱で、今の世界が、なぜどのように形づくられたのかを生徒自らの手で学ぶため、とされています。
過去の事象を学び考えることで、これからの社会・世界のあり方を考えさせるということなのでしょう。
これからの世界は、一つの国だけのレベルでは何も解決できなくなります。世界レベル・地球レベルで生きていく子供たちには、必要不可欠な学びとなりますね。
今までのような問題形式ではなく、どの教科も、事実や法則を基に、なぜそうなのか、そうなったのか、これからどうなるのか、どうすればよいのかを自ら考えさせる内容に変化していくのではないでしょうか。
大学入学共通テストが変わると、それを目指す高校の勉強が変わり、その高校に入るための高校入試が変わり、それを目指す中学校の勉強が変わり、小学校も変わっていきます。
では、それに対応する子供をどう伸ばしていけばいいのか、そういう教育を受けてこなかった親世代は悩まれることと思います。
でも、自分が教えなきゃというふうに考える必要は全くありません。親世代の私たちも、この教育の変化を受け止め、共に興味を持ち、学び、考えればいいのです。
思考力のベースは好奇心です。興味をもてば、「なぜ?それは本当?」と疑問がわいて調べるでしょう。今の子供たちは一人一台のタブレットを持ち、何でも調べることができますね。そして、「なるほど!」とわかれば、さらに世界が広がり、興味も広がります。
調べることで知識がどんどん増え、その知識をもとに考えることができるようになります。
子供さんと一緒に何事にも興味をもち、面白がって一緒に調べたり、それを共通の話題として広げていかれるのが良いと思います。
子供は、親御さんが思っていらっしゃる以上に、親を大切に思っています。親に喜ばれることが何より嬉しいのです。その親御さんが、一緒に興味を持って一緒に楽しみ、共通の話題として話せることは、何よりの応援歌になることでしょう。
(朝日新聞 教育 明日へのLesson 大学入学共通テスト「歴史総合」試作問題から 参照)